まことに不謹慎ながら僕はあの人に一目惚れしてしまった。
今の僕の心の中には昔の人の記憶がある。とてもおてんばで、とても古風で、とても扱いづらく、そしてとても従順なような相手だった。その記憶が僕の心の中に今でも存在している。
昔の相手はこうだった。昔の相手はこう考えた。昔の相手はこう動いた。昔の相手はこうしてくれた。昔の相手は僕のそばにいた。でも、別れた。だからその人のことを考える時、自然と過去形という形式になってしまう。だって、別れたのだから。
それから僕は新しい相手と出会い、そして今共にいる。
その相手は昔----何年も前の僕がまだ子供だった頃に最もそばにいた相手だった。ただ僕はまだ子供だった。相手の良さに気付くだけ大人にはなっていなかったし、その当時はその人がいるのが当たり前だと思っていた。そして僕らは自然と違う道を歩むようになった。
数年の月日が経ち、そして僕らは再会した。
それからはずっと一緒にいる。今の僕にはその人の良さが分かるようになった。ちょっと小さめで、でも僕と寄り添うように一緒にいてくれるそんな相手。
僕は幸せだった。時々昔の人の記憶が僕の心の中で暴れ、台風のように去っていく。その時僕の心はきつく締め付けられ、そして記憶がフラッシュバックのように蘇る。僕がバカだったこと。僕が傷つけたこと。僕が悲しませたこと。フとした拍子に蘇る。
でも、それを今の相手に言うわけにはいかない。言ったとしたら悲しませるだけだろう、傷つけるだけだろう。僕は僕の心の中に存在している記憶と今の想いとの間で苦しんでいる。この苦しみは僕だけにしか分からない。僕だけがわかり、僕だけが苦しんでいる。そこに何人たりとも踏み入ることはできない。永遠の呪縛。
そんな長い苦しみを味わっていたあの日、あの時、あの場所で、僕はあの人に出会ってしまった。
一目惚れだった。この人なら僕が抱える苦しみを解放してくれる。救ってくれる。赦してくれる。まるで僕と出会うことが運命であったかのようにこの人は僕とピッタリだった。僕の望みも、僕の小さな背格好も、僕の求めていたものも何もかもがピッタリだった。
出会った瞬間にこの人しかいないと思った。いや、思ったではない、本能の部分で感じたのだ。神という存在がいるとするならば、そんな大きな存在が僕に与えてくれた唯一の相手であると一瞬で理解したのだ。
そして、この人と出会った時のシチュエーションも良かった。僕は一目惚れしてしまった。昔の人の記憶があるというのに。今の人との関係があるのに。
僕は昔の人の記憶という過去の中で生きたいのではない。僕は今の関係という現在の中で生きたいのでもない。僕は出会った相手とこれから先、ずっと共にいるという未来の中で生きたいと強く思ったのだ。
過去でも、今存在している現在でもない。もっと正確に言うのならば、「未来に繋がる現在を生きていきたい」ということだろう。
でも、その道はきっと悲しみと更なる苦しみの道だろう。今でさえも苦しんでいる僕が更なる苦しみの道を歩む? そんなこと本当にできるのか? でも、この人ならば僕の苦しみを解放してくれる。救ってくれる。赦してくれる。そんな相手のはずなんだ。僕はそう確信している。この相手じゃないとダメなんだ。
だから僕は迷わない。今この時をもって僕は今まで進んできたレールとは別のレールを進んでいく。もしかしたら、そのレールを変えて進むというその行為自体が僕という人生の大きなレールのうちのひとつかもしれない。でも、今の僕にとっては新しいレールなんだ。
そのレールを僕は進んでいく。出会い、一目惚れしてしまったこの人と一緒に歩むというその道を。これから先、ずっと、死が二人をわかつまで----。
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と言うわけで、新しいマウスを買ったという話です。
いやー、新しいマウスを買ったけれど、今までの二つのマウスとはまったく別物だよ、本当に。
一番最初のヤツはパソコンを買った時に一緒に箱に入っていた純正のマウスなんだけど、それは動きがかなり重いから力が必要だった。でも、長く使っていたからその時の記憶が「過去の記憶」として結構鮮明に頭の中に残っているんだよね。
二番目----新しいマウスを買う前に使っていたマウスはかなり昔に使っていたヤツを引っ張り出してきて使っていたんだけど、純正に比べたらかなり良いマウスだった。昔使っていた時は僕もまだパソコン関係のことを今ほど考えていなかったからこんなに良いマウスだとは知らなかったんだよね。
そのマウスを使っていたから社外製のマウスを使えばかなり便利じゃねぇか? と思ってマウスを探し回った末にとうとう僕の求めていた理想通りのマウスに巡り会うことができて、その場で一目惚れをした。
僕の望み通りの機能があったし、それに男にしてはかなり小さい手にもフィットする形状になっている。
しかも、そのマウスが高性能なレーザーマウスのくせに、ちょっとだけ性能が良い光学式マウスと同じ値段だったというシチュエーションのために余計に想いの熱が高まってしまったんだ。
それ以来僕はそのマウスのことばかり考え、そして先日その一目惚れをしたマウスを買った、というストーリーをなんかまぁ……僕が勝手に物語風にしてみただけ。
上の物語と下に書いたマウスの説明は対応しているので、えーと……まぁ、暇な人は見て下さい。間違ったことは何一つ書いていない。僕にとってマウスだって生命を持った人であると考えているので。
って言うのはいささか強引かな。
でもまぁ、これは書いていて楽しかったです。スラスラスラーっと文章が浮かんできて、僕の置かれていた状況と思いを誤解を招くような書き方で書くことができた。誤解が招けていたかどうかは知らないし分からないけれど、書いている僕個人としてはすごく楽しかった。
それはともかく、この新しいマウスはかなりのお気に入りだ。当たり前の話だけれど、普通にパソコンで何かをする時に最もよく使うハードウェアというのはマウスなわけで、つまりマウスを快適なものに変えるだけでかなり快適なパソコン環境になるということだ。
もっと早くにそれを知ることができていたら良かったな、なんて思うけれど、今この瞬間に巡り会えたことに大きな意味があるんだよね。
最後にマウスの写真をアップしてこの文章は終わりだ。
と言うか、僕はこういう場所に写真とか画像をアップしたことがないのでそれを今から試行錯誤する、という意味合いの締めくくり方なわけです。
追記:画像をアップして表示させるのにかなりの時間を要した。ややこしい作りなんだよな、このブログは。なんて言っても使い続けているわけだけど。
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