【前編】からの続き。
でも一番ビックリした「気」の使い方は「かめはめ波」で心臓の止まった人間の蘇生を試みたことだ。
どうやって「かめはめ波」で蘇生を!? と思った方は映画を観てください。
ニコニコ動画の動画だったら「タグ」の部分に「かめはめ波を使った人体蘇生」とかなんとかできるんじゃないかな、なんて思う。
僕のイメージでは「かめはめ波」=「敵を倒す」もしくは「ぶっ壊す」あるいは「空を飛ぶ(この意味を分かって欲しい)」ものだと思っている。
ところが「かめはめ波」で人体蘇生――そりゃ、中国の「気」は治療や何かに使われるイメージあるけど、『ドラゴンボール』の「気」でそれをするというのも……。
「かめはめ波」で驚いたのはそれだけではない。
マンガでもアニメでも悟空なんかが「かめはめ波」を打つと、その反動から地面が砕けて足が地面にめり込みますよね。
ところが映画版の「かめはめ波」は撃つと、何故か身体が撃った方向に飛んでいきます。
どうやらマンガ・アニメ版の「かめはめ波」と映画版の「かめはめ波」はベクトルが違うもののようだ。
マンガ・アニメ版のベクトルは撃った方向と反対側のベクトル。
例を出すと――あまり良い例ではないかもしれないけど――拳銃を発射した時のように撃った方向と反対側に反動が来る、ということだ。
映画版のベクトルは撃った方向と同じ方向のベクトル。
例としては、目一杯の力の限りにボールを投げた時、ボールを投げた後に反動で自分の同じ方に倒れ込む――と言ったところだろうか。
ゴメンね、例えが下手くそで。
でまぁ、マンガ・アニメ版の感覚で考えるとまったく分からない「かめはめ波」が映画版では放たれていた。
流体力学的に吸い込まれるような形となったのだろうか? スリップストリームのような?
よく分からない。
そして最後のクライマックス。
悟空達はピッコロを滅ぼすためにドラゴンボールを集めており、そして7つ全てのドラゴンボールが集まった!!
神龍(シェンロン)を呼び出した!
って、何だあの尾の短いへんてこな龍は!! こんなものシェンロンじゃねぇ!!
原作のシェンロンは空一杯に広がるような大きく威厳のある竜なのに、映画版のはトカゲから進化する途中の竜のような尾の短い中途半端な大きさの竜……。
そして「ピッコロを滅ぼしてくれ」と言うのかと思ったら「亀仙人を蘇らせてくれ」ときたもんだ。
ピッコロとの戦いの際に死んだ亀仙人を蘇らせるためにドラゴンボールを使った――そう、つまりピッコロの件は保留です。
どう見ても続編を作ります的な終わり方で終わったわけだけど、まったくもってハリウッドの続編をほのめかす終わり方にはウンザリ感が否めない。
そりゃ続編ができれば気になるんだけど、それでも最近の映画のほとんどが続編をほのめかして終わるだけに些かウンザリする。
「またかよ」みたいなね。
「続編を作って、観てくれた人達をもう一度喜ばせたい」と言えば聞こえは良いけれど、僕には「え? 何、これ売れたの? だったら続編作ればまた売れるだろ」という感じにしか感じられない。
もっと言っちゃえば、「もうこれの続編を作るしか売れる道はないんですぅ~」としか思えない。
ちなみにこの『ドラゴンボール』は続編の制作の話が進んでいてもう脚本ができている。
それにはベジータや息子の悟飯が出てくるとか。
ところが今作がアメリカであまりに不評だったため、制作費が下りないとか何とか。
この映画はとんでもない作品だったわけだけど、不思議な点が一つだけある。
確かこの映画は鳥山明がある程度監修して作ったはずだけど、どうしてこうなってしまったのだろうか?
やはりハリウッド映画事情だろうか。
まぁあまり酷評ばかり言ってもしょうがないので、この映画の良いところを言わなければ。
この映画の良いところは原作『ドラゴンボール』の名前とその他の登場人物の名前との激しいミスマッチだ。
「悟空」という名前がトミーとかマイケルとかそういう類の名前の中にいるし、「チチ」もローザとかイザベルとかそういう類の名前の中にいるしね。
「ピッコロ」なんてまだ良いけど、「ブルマ」とかは完全にアメリカの名前から浮いている。
そういう細かい微妙なところに面白さの活路を見いだすしかない――そんな映画でした。
って、最後も結局酷評ですね。
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