「別れよう」だなんて言ったら君は泣くだろうか?
僕は君と別れることを決心をした。
嫌いになったわけじゃない。嫌いになれたらどんなに楽になることだろうか。
別れる理由なんてない。だって僕は君を今でも好きだから。
今でも君の身体の持つ重みを思い返せば、君の存在を思い出す。
今でも君の身体の持つ暖かみを思い返せば、君との思い出に浸ることができる。
嫌いになったんじゃない。でも、君のことを好きで居続けても、嫌いになったとしても、僕らの未来は変わらなかっただろう。
僕らは別れることになるんだ。それは理不尽かもしれない。残酷かもしれない。けれどそれが運命であったのだろう。
幾月どころじゃない。幾年もずっと一緒にいたんだ。
でも僕は君のことを傷つけ続けた。
どんなに君が献身的であろうとも僕は君を傷つけてしまった。
もちろん君がそんな僕に怒って機嫌が悪くなることもたくさんあった。
僕は今、思い返す。
君をずいぶんと傷つけてしまったな、と。まるでそれが消すことの叶わぬ烙印のように君の深奥に深く深く傷を付けてしまった。
傷つけられると、顔にもその苦しみの色は映ってしまうよね。僕はそんなことにも気付かずに君と一緒にいた。
今になってみればなんて僕はバカだったのだろうか、と思う。
でもそんな後悔が意味をなすことはありえない。ただ僕が身勝手だったことを思い知るだけであり、君の傷を埋めることも、君の痛みを分かち合うことももうできない。
君のことをこれ以上傷つけたくなかった。なんて言っても偽善的なものでしかない。そんなことを言ったとしても僕が君を傷つけた現実が消えることはない。
僕は身勝手で、そんな身勝手な自分を思い知ったから君と別れるんだ。
このまま一緒にいたとしても、半年後には別れることになるかもしれない。3ヶ月後かもしれない。はたまた3日後かもしれない。
誰にもそんなことは分からない。
でも、もしもこの先別れることが僕らに与えられた運命ならば、僕は未来へと続く運命の糸をたぐり寄せ、最期の瞬間を早めてしまおうと思ったんだ。
だから僕は別れることを決意した。
君のこと、すごくすごく好きだったよ。
何年も僕と一緒にいてくれた。僕のすぐ側にいてくれた。
傷ついても、不機嫌になっても僕のすぐ側にいてくれた。
僕が傷つけたことが君にとっての消すことの叶わぬ烙印だとするならば、僕にとってのそれは君との思い出。
君と過ごした幾年もの時間の間に僕の心の中に生まれた君との思い出――それは僕の心の中に深く深く押され、決して消えることはありえない。
でもきっと烙印は消えることはありえないだろうけれど、その烙印を忘れる時が来てしまうかもしれない。
消えはしない。でもその存在を忘れてしまうかもしれない。
そんなことを思う僕と別れることになって――君のことを傷つけ続けた僕と別れることになって君は泣くのだろうか?
それともせいせいしているのだろうか。
そうだよな、君はプライドが高いもんな。そう思うかもしれないね。
でも僕は身勝手だからこれから新しい相手とまた一緒に過ごすんだ。
これから幾月も、幾年も。
身勝手な僕で本当にゴメンよ。なんて言っても君は怒るだけかもしれないけれど。
「さようなら」。
「今までありがとう」。
「そしてこんな僕でゴメン」。
お別れだ。
最後にこの言葉を贈るよ。
『今でも誰よりも愛している』。
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というわけで上の文章の通り、携帯を機種変更しました。
「上の文章の通りって、まったくわからねぇじゃねぇか」と言う意見がありそうだけどね。
以下の文章は上の文章と対応しているので見比べて読んでみると「あぁなるほど」と思えるかもしれないけれど思えないかもしれない。思えなかったとしたらそれは僕の文章力がなさすぎるということです。すいません。
僕の今まで使っていた携帯はデザインをすごく気に入っていた。概して言えば女の人向けに作られた携帯を僕は使っていたんだけど、それがなかなか僕と合っていると好評だったし、自分でもそう思っていた。
すごくすごく気に入っていたんだけど、もう結構な年数を使っているし、何よりも僕の使い方が悪かったから本体部分にかなりの傷があってボロボロになっていた。
さらに言えばネットで調べるとこの機種はかなり問題がある機種らしく、度々不機嫌になって色々な不具合が起きていた。
その問題の中の一つに電池パックの膨張の問題があって、電池パックは一度交換していて最近またしても膨らんできていた。だから電池パックの寿命的にはあと3ヶ月、半年くらいは保つだろうと思っていた。
もちろん問題のある機種だからこの先本体の部分が壊れて動かなくなるかもしれない、という恐れがあった。
だから3ヶ月後でも半年後でも替える機種が同じ機種だと決まっているのならば今替えてしまえ、と思って機種変更をしたわけだ。
前の携帯のデザインがかなり気に入っていたので、本当に苦渋の選択だったけれど意を決して替えたんだ。
でも替えたくない理由というのはそのデザインだけだ。他の面においては替えることに関しては満場一致で可決されていた。
ただデザインがあまりにも気に入りすぎていた。それだけが心残りなところだった。
この世にあるものは全ていつかは別れなければならぬ運命の元にある。
どんなに学校で友達と仲良くなろうとも卒業したら離れるように。
どんなにちょっとずつ使っていってもいつかはなくなってしまうように。
だから僕は機種変更をする前日の夜にこう思った。
「その時が来たんだ」。
デザインが気に入っていてすごくすごく愛着が沸いていても、いつかは別れなければならない時は来てしまう。
そしてそれが今なんだ。その時が来たんだ。
人には決断を下さなければならない時が必ず来る。
人には別離を迎えなければならない時が必ず来る。
そしてそれが今なんだ。その時が来たんだ。
だから僕は機種変更をするんだ。
そう思ったんだ。
何年も付き合っていてこの携帯と分かち合った思い出がある。その思い出は僕の心の中に深く深く刻み込まれる。
でもきっと新しい携帯を使っていけばその思い出を忘れてしまう時が来る。けれど、それは忘れただけで心の中には存在しているはずなんだ。今までの携帯達がそうであったように。
だから僕は前に進もう。新しい携帯と前に進もう。
そしてずっとずっと先まで進んだら、その時に後ろを振り返って別れることになった携帯のことを思おう。
それが僕が気に入っていた携帯と別れる時に思ったことだった。
今、新しい携帯を使っているけれど、まだまだ操作には慣れない。これからちょっとずつ親睦を深めようと思う。
この携帯は、君のようにまた僕のすぐ側にいて僕と一緒にいてくれるだろうか?
わからない。わからないけれど、昔の携帯と今の携帯を並べて置いてこう思うんだ。
『今でも誰よりも愛している』。
別に新しい物好きというわけではなく、ただ単に、ショップで見ていいな、と思った機種の発売日がその数日後だったので替えたってだけです。
だからどうしたって話ではないんだけどね。
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